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MAOMAO
MAOMAO
植物学の日(4月24日)
植物学の日にふさわしい、牧野富太郎博士の情熱を受け継ぐような少女の姿を描いた物語です。   【こもれびの写生帖】 森の奥、木々の隙間から差し込む柔らかな光が、少女の黒いツインテールを優しく照らしていました。 探検服に身を包み、少し大きめの探検帽を被った彼女は、足元にひっそりと咲く可憐な山野草を見つけると、吸い寄せられるようにその場にしゃがみ込みました。 「見つけた……。あなた、こんなところで笑っていたのね」 彼女の手には、使い込まれた写生帖と鉛筆。牧野富太郎博士がかつてそうしたように、植物の鼓動までをも描き写そうと、真剣な眼差しを花に向けます。花びらの脈、葉の絶妙な曲線――。水彩絵具が紙の上でじわりと滲み、春の息吹が色鮮やかに再現されていきました。 ふと彼女が背を伸ばすと、背後に立てかけられた古い資料から、牧野博士の肖像画がひょっこりと顔を覗かせていました。穏やかな笑みを浮かべる博士の視線は、まるで時を超えて、令和の時代に植物を愛でる少女を温かく見守っているかのようです。 「博士、私にも聞こえます。植物たちの囁きが」 博士が築いた「植物学」という名の大きな森の中で、少女は今日もしゃがみ込み、まだ見ぬ緑の物語を丁寧に描き続けています。